絵画の大きさを知る!「号数」の基本とサイズ表

絵画の大きさ「号数」とサイズ表

こんな疑問やお悩み、ありませんか?

「絵画の〇号って、具体的にどのくらいの大きさなの?」
「FとかMって何だろう?特別な意味があるのかな…」
「絵画を手放したいけど、サイズをどう伝えたらいい?」

絵画のサイズ表記は、絵画に関心がある方や売却を考えている方にとって重要なポイントです。しかし、〇号やアルファベットの意味を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

この記事では、絵画の大きさや縦横比を表すサイズ表記の基礎知識をわかりやすく解説します。さらには大きさが買取価格に与える影響について、初心者でも簡単に理解できる内容でお届けします。

絵画のサイズ表記とは?基本の〇号とアルファベット

絵画のサイズ表記は、基本的に「F10号」や「P6号」のようにアルファベットと数字を組み合わせたものが使用されます。今回はこの表記方法の、数値とアルファベットについて詳しく説明していきます。

〇号とアルファベットの関係

「〇号」は、絵画のサイズを表すための規格で、主にキャンバスの大きさを示します。
この号数は絵画の長辺の長さと紐づいており、号数が大きくなるほどサイズの大きな絵画になっていきます。さらに、同じ長辺に対する短辺の長さの違いによって、アルファベットのF・P・M・Sが使われます。
号数の歴史はフランスに由来するとされており、キャンバスの規格を統一する目的で導入されました。この方式は現在、日本やヨーロッパで一般的に使用されています。

F・P・M・Sとは?それぞれの違いと由来

号数と組み合わせて用いられる4つのアルファベットは、短辺を1とした場合の長編の比率を表しています。
例えば、
F10号=53×45.5㎝ (およそ1.2:1)
P10号=53×41㎝ (およそ1.4:1)
M10号=53×33.3㎝ (およそ1.6:1)
S10号=53×53㎝ (1:1)
つまり、F・P・M・Sによって縦横比が決まるのです。

では、なぜこの4文字が使用されているのか。それには以下のような意味や由来があります。

  • F(Figure:フィグール)は「人物画向け」
  • P(Paysage:ペイサージュ)は「風景画向け」
  • M(Marine:マリーン)は「海の風景向け」
  • S(Square:正方形)

このように、各アルファベットはもともと用途を示すものとして付与されました。しかし、現代ではそのような厳密な使い分けはありません。例えば、F10号とP10号のキャンバスの大きさは、それぞれ「53×45.5cm」と「53×41cm」ですが、このわずかな違いをもって前者を人物画に、後者を風景画に、という縛りはありません。

絵画の号数の選ばれ方

一般的に、絵画を陳列する目的や展示スペースに応じて適切な大きさの号数が選ばれます。
また、アーティストも作品の内容や展示場所に応じて適切な号数を選択します。小さな空間や細密な作品には小さな号数を、大きな壁面や迫力のある作品には大きな号数を選ぶことが一般的です。
例えば、

  • 静物画:花瓶、果物、小物などの細部を丁寧に描く静物画には、F3号やF4号など
  • 肖像画:胸から上を描く小型の肖像画には、細かな表情や特徴を捉えるのに適したF4号からF6号程度
  • 大型作品:F50号やF100号など

各号数の実寸と絵画のサイズ計測方法

与えられた情報で絵画の大きさを把握したり、手持ちの絵画を評価してもらったりする際、号数の確認が必要になります。絵画の号数が、価格の目安になることもあるからです。
ここでは、一覧表で絵画の各号数の具体的なサイズを知り、さらに、実際の絵画のサイズ計測方法について学びましょう。

号数と実寸サイズの関係(一覧表)

以下は、4つの形状別、各号数のサイズ早見表です。作品サイズを具体的に把握するための参考にしてください。(単位:mm)
なお、「SMサイズ」については後述します。

号数F型
(人物)
P型
(風景)
M型
(海景)
S型
(正方形)
0号180×140180×120180×100180×180
1号220×160220×140220×120220×220
SM227×158
2号240×190240×160240×140240×240
3号273×220273×190273×160273×273
4号333×242333×220333×190333×333
6号410×318410×273410×242410×410
8号455×380455×333455×273455×455
10号530×455530×410530×333530×530
12号606×500606×455606×410606×606
15号652×530652×500652×455652×652
20号727×606727×530727×500727×727
25号803×652803×606803×530803×803
30号910×727910×652910×606910×910
40号1,000×8031,000×7271,000×6521,000×1,000
50号1,167×9101,167×8031,167×7271,167×1,167
60号1,303×9701,303×8941,303×8031,303×1,303
80号1,455×1,1201,455×9701,455×8941,455×1,455
100号1,620×1,3031,620×1,1201,620×9701,620×1,620
120号1,940×1,3031,940×1,1201,940×9701,940×1,940
130号1,940×1,620
150号2,273×1,8182,273×1,6202,273×1,4552,273×2,273
200号2,590×1,9402,590×1,8182,590×1,6202,590×2,590
300号2,910×2,1822,910×1,9702,910×1,8182,910×2,910
500号3,333×2,4853,333×2,1823,333×1,9703,333×3,333

一般的な計測方法

絵画のサイズは、「支持体」と呼ばれる土台の大きさで測ります。支持体にはキャンバスのほか、紙や木板、金属板などがあり、額縁は含まれません。
計測するのは支持体の長辺と短辺です。長辺は最長部分、短辺は長辺に対する垂直部分を指します。巻尺や定規を使用し、センチメートル単位で寸法を測っていきましょう。特に、四隅がきちんと直角になっているかを確認し、正確な寸法を得るよう心がけましょう。
注意点として、海外の規格には「フランスサイズ」というものがあります。日本サイズと比べて数ミリメートル程度の誤差があるため、海外製の絵画やキャンバスのサイズをみるときは注意しましょう。

特別なサイズの絵画の魅力

絵画には、標準的な号数以外にも、長辺を重視した特殊サイズや正方形キャンバスなど、特別なサイズのものがあります。他と違うサイズの作品はユニークな印象を与えることができるため、視覚的に強いインパクトを与える絵画にぴったりです。

特殊サイズの特徴

  • 横長のサイズ:長い横幅のある絵画は、風景画やダイナミックな表現を強調するのに最適です。例えば、広大な風景を表現したい場合や、動きのあるシーンには非常に効果的です。
  • 正方形のキャンバス:正方形の絵画は、均衡が取れたシンメトリーを強調する作品に多く見られます。特に、抽象画やミニマリストな作品などに適しています。
  • SMサイズ:22.7cm × 15.8cmの日本独自の規格。:別名の「サムホール」は英語の「thumb-hold」(親指で持つ)に由来し、小型のスケッチ箱や板を親指で持ちながら描くことができる小さなサイズという意味合いです。

特殊な号数の利用例

近年では、アーティストが独自のキャンバスサイズを採用することも増えており、特別なサイズの作品は、アートコレクターやギャラリーで注目される傾向にあります。

  • 正方形キャンバス:通常の長方形とは異なり、シンプルでバランスの取れたデザインが特徴です。現代アートやミニマリズムの作品で人気です。
  • オーダーメイドの号数:美術館や特定のコレクター向けに、特注サイズで制作される作品。壁一面を飾るような大作や、特定の空間に合わせたデザインが行われます。

こうした特殊サイズの作品は、主に富裕層や企業、国際的なギャラリーが関わる高価格帯の美術品市場で注目を集める傾向にあります。

絵画の大きさと買取価格の関係

絵画の大きさは、価格にも大きな影響を与える要素です。基本的に、絵画のサイズが大きくなるほど制作にかかる時間や材料費、運搬費用などが増えるため、初期販売価格も高くなる傾向があります。

大きなサイズに高値が付く理由

大きなサイズの作品はギャラリーやコレクターに人気があるため、買取価格も高くなることが多いです。また、大きいなかでも特殊なサイズが付加価値となることもあります。
たとえば、有名なオークションハウス(クリスティーズやサザビーズ)では、特注サイズの作品が億単位で取引されることもあります。高級ホテルやブランドショップの装飾として採用されるケースもあり、独自のサイズが空間デザインに与える影響が注目されています。

小さな絵画は売れる?

個人で所有している絵画の売却においては、大きさ以上に作品の保存状態や作家の人気度、真贋(オリジナルかどうか)が買取価格に大きく影響します。また、小型だからこそ、収納や展示が容易なため、再び個人の家庭の壁を飾る需要が高く、コレクターの収集対象となるのも事実です。

まとめ

絵画の「号数」は、作品の大きさを表すだけでなく、作品の魅力を引き出す重要な要素です。このことを踏まえて絵画を鑑賞すると、作者はどうしてこのサイズにしたのか、サイズ感が絵画に与えている効果はなんだろうといった新たな楽しみ方が生まれます。
また、「号数」は絵画を売る際に必要となり、価格にも関わる要素であることがお解りいただけたのではないでしょうか。
この記事を参考に、絵画のサイズ表記に注目して、アートの世界をもっと身近に感じてみてください。

この記事の監修者

株式会社 緑和堂
鑑定士、整理収納アドバイザー
石垣 友也

鑑定士として10年以上経歴があり、骨董・美術品全般に精通している。また、鑑定だけでなく、茶碗・ぐい吞み、フィギュリンなどを自身で収集するほどの美術品マニア。 プライベートでは個店や窯元へ訪れては、陶芸家へ実際の話を伺い、知識の吸収を怠らない。 鑑定は骨董品だけでなく、レトロおもちゃ・カード類など蒐集家アイテムも得意。 整理収納アドバイザーの資格を有している為、お客様の片づけのお悩みも解決できることからお客様からの信頼も厚い。

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