【掛軸の使い方】掛け方・外し方や飾る場所について

掛軸の使い方

掛軸は、日本の伝統的な芸術作品の一つとして多くの人から知られています。
しかし、いざ飾るとなると「どこに飾れば良いのか」「どうやって掛ければ良いのか」と迷うことも多いのではないでしょうか。
この記事では、掛軸の具体的な掛け方、飾る場所についてご紹介いたします。

掛軸の掛け方

必要な道具が揃っているかチェックする

掛軸をかけるためには、掛軸本体以外に、以下の道具が必要になります。それらが揃っているか、まずは事前にチェックしておきましょう。

  • 掛け緒(かけお):
    掛軸本体につなげ、飾る場所に吊り下げておくための紐になります。
  • 金具:
    釣り紐を吊り下げるために、壁に刺して使用します。
  • 矢筈(やはず):
    矢筈は、長さが1mほどの棒で、先端が二股に分かれています。その二股部分に掛け緒を引っ掛けて使用します。

掛軸を掛ける手順

  1. 巻紐(まきひも:掛軸を巻いておくための紐)の端を引っ張り、ほどく。
  2. 巻紐を掛軸の後ろへ回し、右端に寄せておく。
  3. 床などに置いた状態で、掛軸を途中まで広げる。
  4. 風帯(ふうたい:掛軸の下部から垂れ下がっている細長い布の紐)を下へ伸ばす。
    ※風帯の折り目が強い場合は、折り目を指で押さえた上で伸ばすようにする。
  5. 掛軸の巻かれている部分の中心を軽く持ち、反対の手を使って矢筈を持ち、先端を掛軸に引っかける。
  6. 矢筈を引っ掛けた状態のまま持ち上げ、掛軸を掛けるために壁に刺しておいた金具に掛軸を掛ける。
  7. 矢筈を外したら床へ置き、掛軸の巻かれている部分の両端を持つ。
  8. 両端を持ったまま、ゆっくりと一番下まで掛軸を広げていく。
  9. 掛け終えたら、少し離れた場所から見て掛軸が水平に飾れているか、高さや左右のバランスは大丈夫かを確認する。
  10. 最後に、垂れている風帯の形を整える。

掛軸を外す手順

  1. 掛軸の横に矢筈を立てかけておく。
  2. 掛軸の下部両端を持って、慎重にゆっくりと風帯の下ぐらいの高さまで巻いていく。
  3. 片手で掛軸の中心を軽く持ち、反対の手で立てかけておいた矢筈を持つ。
  4. 矢筈を掛け緒に引っ掛け、手で掛軸を持った状態のまま、掛軸を床に下ろす。
  5. 矢筈を外し、風帯を織り込む。
  6. 風帯を織り込めたら、掛軸の残りの部分を全て巻く。
  7. 片手で掛軸を持ち上げ、反対の手で巻紐を巻く。
  8. 残った巻紐を折り曲げ、掛け緒の下を通し、さらに反対側の掛軸の下に通す。
  9. 最後に巻紐の長さを整える。

掛軸を掛ける場所の選び方

掛軸の雰囲気に合う場所に飾る

掛軸は、いわゆる和風なものとしてのイメージが強い品物になりますので、そういったものが似合う部屋に飾ると、非常に雰囲気にマッチします。例えば、和室や仏間などがあるご自宅であれば、そこに飾るのがベストです。
また、和室以外の場合でも、和風モダンをテーマに、掛軸のデザインとインテリアの調和を意識すると、空間全体が洗練された印象になります。

直射日光が当たらない場所を選んで飾る

掛軸は、直射日光に当たると色褪せなどの劣化が生じやすくなります。そのため、飾る場所には、柔らかな間接光が当たるぐらいの場所を選んで飾ると、綺麗な状態を保ちながら使用することができます。

見る人の目線の高さを意識する

掛軸は、鑑賞するためのものですので、高すぎず、低すぎず、鑑賞者の視線が自然に集まる場所に飾るのが理想的です。鑑賞者の目線の高さぐらいを意識して飾るようにしましょう。

高温多湿な場所は避けて飾る

高温多湿な場所に掛軸を飾っておくと、カビやシミの原因になることがあります。湿気が少なく、風通しの良い場所で飾るようにしましょう。

まとめ

掛軸を掛ける際、外す際は、掛軸を傷つけたりしないように注意しながら、正しい手順で行うようにしましょう。
また、掛軸を飾る場所は、部屋の雰囲気、掛軸の保管環境などに考慮した上で選ぶようにしましょう。

この記事の監修者

株式会社 緑和堂
鑑定士、整理収納アドバイザー
石垣 友也

鑑定士として10年以上経歴があり、骨董・美術品全般に精通している。また、鑑定だけでなく、茶碗・ぐい吞み、フィギュリンなどを自身で収集するほどの美術品マニア。 プライベートでは個店や窯元へ訪れては、陶芸家へ実際の話を伺い、知識の吸収を怠らない。 鑑定は骨董品だけでなく、レトロおもちゃ・カード類など蒐集家アイテムも得意。 整理収納アドバイザーの資格を有している為、お客様の片づけのお悩みも解決できることからお客様からの信頼も厚い。

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