刀の手入れ方法とは?長く使うための基本とコツ

刀の手入れ方法

日本刀を正しく手入れして保管することは、価値を保つことや、長く使い続けるために欠かせません。しかし、刀の手入れ方法は一度学べばすぐに覚えられるというものではなく、適切な手入れを行うためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。
この記事では、刀の手入れにおける基本的な方法から、必要な道具、注意点まで、詳しく解説していきますので、ぜひご一読ください。

刀の手入れをする理由とは?

日本刀は鉄を素材とするため、適切な手入れを怠ると錆が発生するリスクを抱えています。錆が進行した場合、刀身を損傷し、最悪の場合は刀としての価値を著しく損なうことにも繋がりかねません。
そのため、日頃からの手入れによる錆の予防は、刀を良好な状態で維持するために不可欠なのです。

錆びた日本刀はどうなる?

もし日本刀が錆びてしまっても、完全に修復できないわけではありません。研磨を行う専門職人「研師(とぎし)」に依頼すれば、錆を落とすことが可能です。
しかし、その過程で刀身の表面が削られ、刀自体の「重ね(厚み)」が減少します。刀の価値が下がってしまうこともあるため、錆びないように防止することが大切ですね。

刀の手入れに必要な道具とその選び方

刀の手入れでは、適切な道具を使用することが非常に重要です。刃を傷つけないように注意し、正しく道具を使用することが求められます。この章では、刀の手入れに欠かせない基本的な道具とその選び方を紹介しましょう。

日本刀の手入れに必要な道具とその使い方

日本刀の手入れには、専用の道具がいくつか必要です。これらの道具を使って適切に手入れを行うことで、刀を良い状態に保てます。主に使用される道具は以下の5つとなります。

  • 目釘抜き(めくぎぬき):
    目釘抜きは、刀の鞘から刀身を取り出す際に使う道具です。刀身を傷つけないように慎重に使用しましょう。
  • 丁子油(ちょうじあぶら):
    別名、刀剣油や御刀油とも呼ばれる丁子油は、刀身に薄く塗ることで錆を防ぐ役割を果たします。使用する際は、布に少量を取り、刀身全体に均等に塗布してください。刀身を保護し、湿気や汚れから守るために役立ちます。
  • 拭紙(ぬぐいがみ):
    拭紙は、刀身を拭き取るための特別な紙です。手入れ後には、刀身を丁寧に拭いて油分や汚れを取り除くことが大切です。これを行うと刀身に汚れが残らず、錆を防ぐことができます。
  • 打粉(うちこ):
    打粉は、刀の表面に細かな粉をまぶすことで、油分がきちんと定着し、錆の原因となる水分を取り除く効果があります。油を塗った後に打粉を使うことで、さらに保護が可能です。
  • ネル布:
    最後に使用するのがネル布です。柔らかい布で、油を塗布した後や拭紙で拭き取った後に、優しく刀身を磨きましょう。ネル布で丁寧に磨くことで、刀身の表面が滑らかになり、さらに美しい状態を保てます。

これらの道具を使いこなすことで、日本刀の手入れは効果的に行えます。定期的に手入れをし、適切な方法で保管することが、刀を長く美しい状態で保つ秘訣といえるでしょう。

道具選びのポイント

刀の手入れに必要な道具を選ぶ際には、質の高いものを選ぶことが大切です。安価な道具では、手入れの効果が不十分になったり、刀を傷つけてしまうリスクがあります。信頼できる専門店で購入し、道具の選び方や使い方についてアドバイスをもらうのが良いでしょう。
これらのポイントを押さえ、正しい手入れを行うことで、刀の美しさを長く保つことができます。

手入れ道具の入手方法

上記でご紹介した手入れ道具を入手するには、一番手間がかからないのは通販の利用です。必要な道具がセットで販売されていることが多く、一通りそろえる際には通販は便利です。
もうひとつは、刀剣を販売している実店舗へ足を運ぶことをおすすめします。お店がセレクトして販売しているので品質も良く、直接手入れについてのアドバイスもしてもらえることがある点が大きなメリットです。

手入れの頻度

日本刀の手入れは、通常3ヶ月に一度行うのが理想的です。しかし、頻繁に鑑賞する場合は、その都度手入れを行うことが望ましいです。手入れの頻度が多くなることは問題ありませんが、手入れ不足は錆の原因となります。

  • 研磨後3ヶ月間:週に1度
  • 研磨後4〜6ヶ月:2週間に1度
  • 研磨後7〜12ヶ月:3週間に1度
  • 研磨後13〜24ヶ月:4週間に1度

保管方法の注意点

手入れ方法の次に、保管するうえでいくつか注意点があります。

直射日光と湿気を避ける

  • 刀剣は熱と湿気に弱いため、直射日光が当たる場所や湿度の高い場所での保管は避けましょう。
  • 風通しの良い場所での保管が推奨されます。

適切な湿度と温度を保つ

  • 理想的な湿度は50〜60%程度と言われています。温度については、急激な変化を避けることが重要です。
  • 湿度が高すぎると錆が発生しやすく、低すぎると刀の柄などに使用されている木材が乾燥し、ひび割れなどを引き起こす可能性があります。

横向きに保管する

  • 刀剣は必ず横向きに寝かせて保管するのが基本です。
  • 立てかけると倒れる恐れがあり、刀身や鞘に損傷を与える可能性があります。

適切な鞘の使用

  • 日常的な保管には清潔な白鞘を使用するのが望ましいです。
  • 古い拵(こしらえ)を使用すると、内部の汚れや湿気が錆の原因となることがあります。

鞘の点検と管理

  • 鞘の内部に錆や汚れがないか定期的に点検しましょう。
  • 鞘も湿気を帯びないようにし、直射日光を避けることが重要です。

以上のことに気を付けて保管することで、本来の日本刀の美しさと価値を長く保つことができるでしょう。

まとめ

この記事では、刀の手入れに焦点をあて、道具や保管のコツを解説しました。日本刀は鉄で作られているため、その美しさと価値を保つためには定期的な手入れと適切な保管が欠かせません。
道具選びや使用方法にも気を配り、質の高いものを選ぶことで刀の傷みを防ぐことができます。手入れの頻度や保管方法にも注意し、刀の状態を良好に保ちましょう。
これから刀のコレクションを検討されている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

この記事の監修者

株式会社 緑和堂
鑑定士、整理収納アドバイザー
石垣 友也

鑑定士として10年以上経歴があり、骨董・美術品全般に精通している。また、鑑定だけでなく、茶碗・ぐい吞み、フィギュリンなどを自身で収集するほどの美術品マニア。 プライベートでは個店や窯元へ訪れては、陶芸家へ実際の話を伺い、知識の吸収を怠らない。 鑑定は骨董品だけでなく、レトロおもちゃ・カード類など蒐集家アイテムも得意。 整理収納アドバイザーの資格を有している為、お客様の片づけのお悩みも解決できることからお客様からの信頼も厚い。

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