武者小路千家四代 一翁宗守 似休斎

武者小路千家初代（四代）家元 武者小路千家四代 一翁宗守 似休斎（いちおう そうしゅ じきゅうさい）

生没： 1593-1675

武者小路千家四代 一翁宗守 似休斎についてご紹介いたします。

一翁宗守は千宗旦の次男であり、武者小路千家を始めた人物になります。

武者小路千家は、三千家の一つで、特に茶道の精神性と美意識に重きを置いた流派だとされています。
その背景には、創始者である一翁宗守が茶道の精神的な側面や、茶道具や作法の美しさを重要視していたというのがあります。

一翁は元々、塗師として活動していました。漆工芸の伝統的な家系である吉岡家の養子となり、吉岡甚右衛門と名乗ります。

しかし、弟の江岑宗左が紀州徳川家への仕官が叶うと、一翁も改めて茶の湯の道を志し、一度千家へと戻ります。一般的に晩年と呼ばれる齢での決断でした。
その際、塗の仕事を中村宗哲に任せますが、その宗哲は後に千家十職へと加えられる存在となります。

千家へ戻るとすぐに大徳寺に出家し、そこで宗守という号を授かります。
その後、高松松平家に仕官します。
以降、高松松平家は武者小路千家の流派に対して支援を行い、茶道の発展を助ける役割を果たしました。

武者小路千家の茶室である官休庵は、父宗旦が名付けたとされており、一翁が茶に専念するために松平家の仕官を辞めたことが由来になっているのではないかと言われています。

一翁は茶道の基本である「和敬清寂」（わけいせいじゃく）という精神を守りながら、茶会や茶事の形式を進化させ、次世代に伝えていきました。
「和敬清寂」というのは、茶道の実践において、参加者同士の調和、敬意、清潔な環境、そして静かな心の状態を大切にする理念とされています。

また、一翁は茶道具の収集や保存、研究にも力を入れていました。
自身も塗師としての技能を活かし、伝統的な技法を重んじながら、茶道に必要な道具を作り、また修理や手入れもよく行っていたと言われています。

一翁の教えや活動は、千利休とよく似た茶道における精神性をさらに深めるものとなり、今日でもその影響は武者小路千家に受け継がれています。

一翁の好み物はそう多くはなく、竹皮炭斗や信楽蓋置が有名です。他にも、親交のある初代中村宗哲に好み物の制作を頼んだりもしていました。
使い込むことで味わいが増すものや、時代や季節に合ったものをよく好んでいたそうです。質素でありながらも洗練された道具を好んでいたという点もまた、似休斎という号が表わすように、利休の精神性に通ずるものがあると言えるでしょう。

武者小路千家四代 一翁宗守 似休斎 略歴