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日本画家山口蓬春（やまぐちほうしゅん）

生没： 1893-1971

山口蓬春は大正から昭和時代に活躍した日本画家です。
1893年に北海道に生まれた山口蓬春は、1903年に父親の転勤に伴って上京し中学生の時に白馬研究会で洋画を学んでいました。東京美術学校西洋学科に入学した後は、入学の翌年の第9回文展で二等賞を受賞し、二科会においても入賞をしていた為、油彩画で認められはじめておりましたが、1918年に日本画家へ転向し主席で卒業しております。東京美術学校を卒業した1924年には、師である松岡映丘が主宰する新興大和絵会に参加するとともに「秋二題」が第5回帝展に初入選、大正15年には三熊野の那智の御山が第7回帝展に出品し帝展特選、帝国美術院賞を受賞するとともに宮内省が作品を買い上げたことにより、一躍その名をしられることになりました。
その後、師である松岡映丘とは別れて新しい日本画の創造を目指し、六潮会に参加し日本画家、洋画家、美術評論家からなる流派を超えた交流をしていくことで独自の絵画領域を広げていき、この頃に「市場」などの代表作を生み出しました。戦後はフランスの西洋近代絵画（特にマチスやブラック）を取り入れたモダンスタイルの作品を制作していき、日本画界でも西欧画を吸収していくことで近代画の作品が増えていきました。その中でも蓬春の絵画はリズミカルな構成と明るい色彩が特徴的で「蓬春モダニズム」と呼ばれました。
戦後は西洋文化の影響が大きく、伝統のある日本画も淘汰されてしまうのではないかと悲観されましたが、山口蓬春らの活躍により日本画と西洋画の融合した新たなスタイルが生まれました。芸術本来の道を切り拓き、日本画を進化させた人物であるといってもよいのではないでしょうか。

山口蓬春略歴

1893年	北海道に生まれる。
1903年	上京し、白馬会研究所にて洋画を学ぶ。
1915年	東京美術学校西洋学科に入学する。
1918年	日本画に転向し、松岡映丘に師事する。
1924年	新興大和絵会に参加する。
1926年	「三熊野の那智の御山」が第7回帝展にて特選、帝国美術院賞受賞する。
1929年	帝展の審査員となる。
1930年	中村岳陵らと六潮会を結成する。
1950年	日本芸術院の会員となる。
1954年	日展運営会の理事になる。
1958年	日展の常務理事になる。
1965年	文化勲章を受章し、文化功労者となる。
1971年	77歳で逝去。