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坂本繁二郎（さかもとはんじろう）

生没： 1882年-1969年

坂本繁二郎という名を聞いたことがある人、無い人いると思います。
しかし、明治から昭和にかけて活躍した巨匠の1人と言えるでしょう。
坂本繁二郎を語る上で欠かせないのが、若くしてこの世を去った画家・青木繁です。
坂本と青木は同年生まれ、同郷育ちで、青木の影響で坂本は上京し、青木の絵を知人に蒐集するよう促したり、坂本の死後にアトリエから青木のデッサンが発見されたりと、2人の関係はとても深いものでした。
東京への上京と渡仏の経験はありますが、坂本繁二郎はその生涯の大半を福岡の地で過ごします。
坂本繁二郎といえば、やはり『馬』でしょう。
能面や月、様々なモチーフを描きましたが、馬を題材にした作品は多くのファンを生み出しました。
彼の絵は渡仏前後で印象が変わります。
渡仏以前は印象派の風の描き方で筆跡を強調しているのに対し、渡仏後は淡い色調によって表現されていきます。
特に渡仏後に描かれた『水から上がる馬』『放牧三馬』などは代表作と言われます。
坂本繁二郎は九州の福岡を舞台にその自然と生きる馬に魅せられました。
画壇の中心である東京では描けない、その豊かな自然が放つエネルギーを観るものに与える画家。それが坂本繁二郎と言えるでしょう。

坂本繁二郎略歴

1882年	久留米藩の中級武士の坂本金三郎の次男として福岡県久留米市生まれる。青木繁とは同年生まれの同郷育ちである。
1886年	父、金三郎死去する。
1892年	森三美に師事し、絵画を学び瞬く間に頭角を表して神童と称される。
1900年	師匠である森三美の指名を受け、久留米高等小学校の代用講師となる。
1902年	青木繁が故郷に戻ってきた際に青木が東京で描いていた絵に触発され、数ヶ月後に青木と共に上京。小山正太郎の不同舎に入る。
1907年	『北茂安村』が第1回文展にて入選。
1910年	いとこの権藤薫と結婚。同年、第4回文展出品の『張りもの』のモデルは妻・薫とされる。
1912年	第6回文展にて、『うすれ日』を出品し、夏目漱石から高い評価を得る。
1913年	長女誕生。
1914年	二科会創立。
1921年	フランスへ行き、シャルル・ゲランに師事。
1923年	『ブルターニュ』『帽子を持てる女』が高く評価される。
1924年	日本に帰国し、地元久留米に戻る。
1926年	『放水路の雲』を制作。
1931年	友人の梅野満雄の援助によりアトリエを建立。以後このアトリエ制作の拠点となる。
1932年	『放牧三馬』制作。
1937年	代表作『水より上がる馬』制作。
1942年	第29回二科美術展覧会で、坂本繁二郎の還暦特別陳列が開かれる。
1947年	日本芸術院会員になることを辞退。
1954年	毎日美術賞受賞。
1956年	文化勲章を受賞
1969年	逝去。