ヘンリー・ムーア

彫刻家 ヘンリー・ムーア（ヘンリー・ムーア）

生没： 1898年～1986年

ヘンリー・ムーア
20世紀のイギリスを代表する彫刻家です。

1898年にイギリスのヨークシャーで生まれ、11歳の時に美術の授業においてヘンリー・ムーアが作り出す粘土や木の造形物に先生が褒めたことをきっかけに芸術家への道を歩み始めました。
ヘンリー・ムーアの得意とする芸術は、模型などを用いずに石やブロンズなどを直接掘っていくダイナミックな作風であり、完成した作品には工具の削り跡などが残るものとなっていました。当時の通っていた美術学校の先生方は古典的な彫刻方法を指導していたため、度々争いが起こったといわれております。

ムーアの作品は年を追うごとに大きなものとなり、第二次世界大戦後には公共の場でのモニュメントとして制作されることが多くなっていきました。ムーアは直彫りにこだわっていましたが、大きな作品を望まれるにつれ、流石に直彫りでの製作を断念し、助手を雇って雛形を制作するようになっていきました。

ムーアの作品のテーマは「母と子」という、母性と愛に溢れたものです。ムーアの妻のイリーナは、ロシア革命の中で父親を失い、先にパリへ避難した母を追うようにパリへ密入国した経験がありました。そのため性格はとても内向的でしたが、ムーアと出会い結婚し、共に過ごしていく中で明るくなっていったそうです。きっとムーアの愛が彼女をそうさせたのでしょう。
二人の間に産まれた娘には、ムーアの亡くなった母の名前を授けるなど、ムーアは家族の結びつきをとても大切にしていました。その様子は作品にも表れ、母と子どもや女性をテーマにした作品などを多く残しています。

ムーアの彫刻作品はイギリスを始め、世界各地の近代美術館にあります。当時主流ではなかった直彫りという製作方法を追求し、独自の抽象的彫刻を築き上げたヘンリー・ムーアは、イギリス美術を国際的なものにするのに貢献しました。

ヘンリー・ムーア 略歴