トーマス・キンケードは、光の表現や風景描写で知られるアメリカの画家であり、世界中で約30名ほどしかいないとされているディズニー公認作家でもあります。2005年にはカリフォルニアのディズニーランド開園50周年を記念するオフィシャルアーティストに選出され、現地メインストリートでスケッチを行って記念作品を制作しました。同氏の手がけたディズニー作品群では、映画全体のストーリーや複数の名場面をひとつの画面内に凝縮して再構成する「ナラティブ・パノラマ」と呼ばれる手法が用いられています。『美女と野獣』『リトル・マーメイド』『塔の上のラプンツェル』『ライオン・キング』『シンデレラ』など、多岐にわたるアニメーションの世界観や主要キャラクターを、自身特有の光彩効果と温かみのある背景描写と融合させて描き出しました。
作風としては、パステルカラーと鮮やかな照明効果を用い、庭園、小川、石造りのコテージ、灯台、メインストリートなど、アメリカの風景画における理想主義的価値観に基づいたのどかな風景を描くことを特徴としています。同氏は自らを「光の画家」と称して商標登録を行い、設立したトーマス・キンケード・カンパニー等を通じて複製画やライセンス製品の大量展開・販売を行いました。その商業的手法や言動については議論を呼び、一部の美術評論家からは作品について「キッチュ」(俗悪なもの、安っぽいもの、悪趣味なものを意味する言葉)であるとの批判もなされました。同氏は2012年にアルコールとジアゼパムの急性中毒により54歳でこの世を去りました。
岩谷晃太(いわたに こうた)は、1989年生まれの日本画家です。東京藝術大学を卒業後、同大学院に進学し博士号を取得しました。現在は日本美術院の院友として活動しており、母校にて非常勤講師などを務めています。
伝統と革新をテーマに作成をしており、漆黒の岩黒や天然の群青を用いた背景に、月や稲妻、光の表現などを配した画面構成が特徴です。雲肌麻紙や屏風といった伝統的な支持体にとどまらず、現代の板絵と位置付けてスケートボードデッキに描画したり、原画をもとにした京友禅を制作したりするなど、多様な素材や表現形式を作品に取り入れています。
幾つもの個展を開催したり院展でも賞を取るなど目覚ましい活躍の日本画家です。
古沢岩美は艶めかしい表現を得意とする現代画家です。
1912年に佐賀県に生まれ、商業学校を中退後、朝鮮へ渡ると、叔父の店で働きながら絵を描き始めます。1928年には帰国し、東京の本郷絵画研究所で岡田三郎助に学びました。その後、長崎アトリエ村へ移ると様々な画家と交流を深めていきます。
1938年には「第8回独立美術協会展」にシュルレアリズムを取り入れた作品を出品し、頭角を現します。翌年には福沢一郎、麻生三郎らと美術文化協会を結成し、意欲的に作品を発表しています。
しかし1943年には徴兵され中国で従軍することとなりました。その後は約1年間捕虜として生活しています。古沢はこの経験を通して、社会への批判や戦争の残酷さを、生々しく、エロティックに表現していきます。
代表作には『餓鬼』シリーズや『斃卒』『黄昏』があります。油彩画だけでなく、版画や小説挿絵なども手掛けており、見れば見るほど世界観に引き込まれていくような作家です。
塙 賢三(はなわ けんぞう)は、「ピエロの画家」と知られる洋画家です。
1916年、茨城県土浦市の菓子職人の父のもとに生まれました。1929年に高等小学校を卒業した後は家業を手伝い、1932年に上京して電器店に勤めながら東京電機大学の夜学に通い電機工学を学びました。1937年には帰郷し、「塙電業社」を立ち上げます。
画家としての道を歩み始めたのは1943年頃からです。土浦市出身の洋画家・福田義之助と出会い、そのアトリエに通い油絵を学ぶようになりました。
1945年には白日展に、1946年には二科展で初入選を果たします。その後も二科展への出品を続け、岡田賞や二科会創立35周年記念賞などを受賞して二科会会員となりました。岡田賞の受賞を機に家業を閉じ、画業に邁進します。
展覧会に出品する一方で、1954年から銀座でロード展を、1958年には北海道から九州へ日本縦断路傍展を行いました。
同年夏にはアメリカで個展を開き、ヨーロッパやエジプト、中東を経て帰国します。また1970年にも、スペインやモロッコに赴き巡遊し製作を行いました。
広く知られているサーカスやピエロのモチーフは、1960年頃から描かれるようになります。
単色に塗られた背景や大きく描かれた三角帽子を被ったピエロなど、童画のようなメルヘンな作風が特徴です。
愛や喜び、悲しみなどの気持ちを温かみ色使いでノスタルジックに表現しています。
漫画家のさくらももこも、自身の20歳の記念にピエロの絵を購入するなど、広く愛されている作家です。
レオナルド・ウェーバーは、20世紀に活躍したアメリカ出身の風景画家です。
ニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグで絵画を学んだ後、長年にわたり美術教育に従事しました。その過程で日本の水墨画からインスピレーションを受け、都市や街並みの景観を横長の構図を用いて描く作風を確立しました。
世界各地の都市や自然景観を題材とし、繊細な筆致と淡く透明感のある色彩を用いて表現しています。精細な色調と奥行きのある空間構成を組み合わせることで、対象となる地域の空気感や空間の広がりを緻密に捉えた水彩画や版画作品を展開しました。
1995年以降は幾度となく来日し、開催された展覧会で人気を博しました。葛飾北斎を深く敬愛していることでも知られ、来日時には横浜の風景をはじめとする作品を数多く制作しています。
志田展哉は現代の日本画家です。
志田は、神奈川県に生まれ、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業後、同大学大学院修士課程、さらに博士課程へと進み、日本画について研鑽を積みました。2003年には、東京藝術大学大学院博士課程の研究発表において野村賞を受賞しています。また、佐藤美術館での個展をはじめ、日本橋三越本店、大丸、そごう、東武百貨店などで多数の個展・グループ展を開催しています。
彼の作品は、岩絵具と焼成した銀箔を用いた繊細な画面表現が特徴です。銀箔が生み出す豊かな階調と、青や藍色を基調とした静謐な色彩によって、幻想的な世界観が表現されています。花々や木々、月、星空、猫といった自然や身近なモチーフに加え、電柱や電線など都市風景を象徴するモチーフも取り入れられ、伝統的な日本画の美意識と現代的な感覚が調和した作品を制作しています。
志田展哉は、日本画の伝統的な表現を大切にしながらも、現代の風景や感性を融合させた独自の作品世界を築いている作家です。