永島福太郎(ながしま ふくたろう)は、日本の著名な歴史学者で、特に中世日本の都市史や茶道史、奈良地域の歴史研究において重要な業績を残します。
古美術・茶道具に関する多数の著作を執筆し、特に『天王寺屋会記』の編纂・刊行で知られ、茶会記・道具の記録の保存に大きく貢献しました。
収集家・目利きとしても一流とされ、当時の茶人や蒐集家との交流も活発でした。
中世都市の社会構造や茶文化研究によって日本歴史学と文化研究の基盤を築いた一人で、単なる学問的探究にとどまらず、地域文化への深い理解と普及意識に貢献し、多くの後進に影響を与え続ける歴史学者です。
野々内良樹(ののうち よしき)は日本画、特に花鳥画を得意とし、日展会員として幅広く活躍した作家です。
父は日本画家の 野々内保太郎、次男の井上稔・三男の野々内宏も画家として活躍した、日本画の伝統を受け継ぐ芸術一家です。
花鳥画や小禽(小さな鳥)を多く描いたことで知られ、柔らかで上品な筆致と写実性の高い自然観察眼が特徴です。
自然への観察を深く反映した色彩感覚と表現力が高く、日展での受賞と審査・委嘱歴、外務省買い上げなど国内で高い評価を獲得し、京都伝統の花鳥画を現代に伴う優雅で透明感あるスタイルに昇華しました。
さらに自身も審査員・指導的立場に立ち、多くの回顧展や美術館所蔵を通じて、後世にその画業を伝えています。
菅野矢一(すがの やいち)は、山形出身の洋画家で、日本芸術院会員。初期は人物画を多く描いたものの、後に風景画へと主題を変え、海や山などの大自然を鮮明な色面で表現する“清新な画風”で知られています 。
人物画から大自然の風景へと描き方を深化させた彼は、日本の洋画界において色彩と空間表現の新境地を切り拓いた存在です。
海・山など広大な風景を、色面(面としての色調)を明快に描く「清新な画風」が特徴で、晩年には「奥の細道」シリーズにも取り組みました。
旅や四季の移ろいを受け止めた画風は、現在でも多くの美術館で愛され、鑑賞者に清々しさと静謐を与えています。
日本を代表する江戸切子職人の一人であり、木村氏が手掛ける品物は、透明感の高いクリスタルガラスを使用し、更にそこに高い技術力を必要とする「菊籠目紋」「菊繋ぎ紋」を重ねて表現されているのが特徴的です。
江戸切子職人の父から誘われて仕事を手伝うことをきっかけにこの世界に入った木村氏ですが、当時は継ぐことを考えていなかったそうです。しかし、続けているうちに江戸切子の世界に魅了されていき、今現在は全国各地の高島屋で「手造り硝子展」を開催するなど、活躍の幅を広げております。
また、1992年には東京都伝統工芸士に認定されており、その技術は確かなものとして都知事より認定を受けています。
守口氏は滋賀県長浜市に伝わる郷土人形「おぼこ人形」の伝統工芸士であり、現代において数少ない専門職人の一人です。
有職御雛京人形司松屋から出されている作品が多く、共通している点として、凛とした表情の中に伝統的な顔立ちが見えたかと思うと、現実のような人間味を感じる事ができる点が挙げられます。雛人形の他に、五月人形や数は少ないですが馬などの動物モチーフの作品も世に出しています。
市場に出る機会が少ない作家のうちの一人である為、人形愛好家等からの注目度が高い作家になります。
前川 泰山は珊瑚彫刻界を代表する作家です。
革新的な彫刻技術を取り入れ、従来の日本の珊瑚彫刻の伝統を覆す作品スタイルが注目されました。特に「寄木彫り」と呼ばれる手法(複数の珊瑚を組み合わせて立体表現をする技術)を開発し、希少な珊瑚を有効活用しつつ、表現の自由度を高めた点が高く評価されています。
長年にわたって創作活動を続け、「現代の名工」や黄綬褒章の受章など、多くの栄誉に輝いています。
また、ユーモアあるモチーフ(たとえば、動物、食べ物、日常の題材)を主体とした作品づくりにも取り組み、サンゴ彫刻の表現の幅を広げたパイオニアとして知られます。