田中佐次郎(たなか さじろう)は、唐津焼の流れを汲む陶芸家として知られ、とくに「斑唐津」「絵唐津」を中心とした作風で評価されている作家です。近代以降の唐津焼作家の一人として、伝統的な技法を踏まえながらも、実用性と造形美を両立させた作品を制作しています。
『絵唐津』は、唐津焼の伝統である鉄絵(酸化鉄による絵付け)を基調とし、
簡潔で素朴な文様を余白を活かして描く点に特徴があります。
いわゆる整った美しさよりも「古唐津の再解釈」「自然と炎の力の顕在化」という方向性で評価されています。
実際に茶碗を中心とした作品は、“古唐津や高麗茶碗を超えた独自の境地”と評されることもあります。
平安吉兆は、京都・五条坂で活動する京焼・清水焼の陶芸作家です。
1971年に独立して現在の雅号を名乗り、主に染付磁器による煎茶器や茶器類を制作してきました。日本煎茶工芸協会正会員として、伝統を踏まえつつ洗練された京焼の世界を今に伝える作家の一人です。
作風の特徴は、中国陶磁に由来する「豆彩(とうさい)」などの細密な上絵技法を用いた、気品ある文様表現にあります。端正な器形と緻密な絵付けが調和し、落ち着きと華やかさを併せ持つ作品として評価されています。
中でも金彩が施された煎茶器揃いや水柱は高く評価される傾向にあります。
國友藤平衛は、江戸時代に活躍した鉄砲鍛冶工房で、近江国國友村(現在の滋賀県長浜市)を拠点に活動していました。國友藤平衛の地域は、江戸時代に火縄づくりが盛んだったことで知られ、多くの鉄砲鍛冶が集まっていた場所です。その中でも技術力の高い工房として名前が知られています。
中でも名工とされるのには、九代の国友一貫斎がおります。
國友で作られた火縄銃は、実用性に優れているだけではなく、作りが丁寧で丈夫な点が特徴です。銃身や金具の仕上げがよく、細かな部分まで気を配って作られていることがうかがえます。
また、國友の鉄砲鍛冶は各地の大名や武士から注文を受けており、藤平衛もそうした需要に応えながら制作していました。國友藤平衛は、江戸時代の火縄銃文化を今に伝える、重要な鉄砲鍛冶の一人です。
谷脇 利光(たにわき としみつ)は、1946年高知県生まれの珊瑚彫刻家で、宝石珊瑚を用いた精巧な彫刻作品を制作する工芸作家として知られています。
卓越した技術と豊かな表現力により、七福神や仙人、仏像などの人物像を中心に数多くの作品を手がけており、細部まで丁寧に彫り込まれた立体的な表現が特徴です。
また、全日本珊瑚祭典美術工芸部門入賞をはじめ、数々の賞を受賞しており、珊瑚彫刻の分野において高い評価を受けている作家の一人です。
松本 富太郎(まつもと とみたろう)は、日本の洋画家で、20世紀を代表する具象・抽象表現の画家の一人です。
戦前から戦後にかけて日展(日本美術展覧会)にも出品を続け、1953年には日展で「アトリエのポーズ」による特選と岡田賞受賞を果たしています。1950年代には大久保作次郎らと新世紀美術協会を結成し、日展以外の美術団体にも深く関与しました。
彼の作品は具象の写実から抽象表現まで幅広く、具象期の風景画や静物、特に薔薇を題材にした油彩作品などが流通市場でも取り扱われています。作品収蔵先としては、東宮御所や大阪市、農林水産省などの公的機関にも存在するとされます。
代表的な作品としては「薔薇」「洛北大原の里(京都)」などの油彩画が知られ、静物・風景・人物など伝統的題材を扱いながらも画面構成や色彩感覚には個性的な表現が見受けられます。