池上 秀畝(1874年-1944年)は、明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家です。現在の長野県に生まれ、後に帝室技芸員に選ばれる荒木 寛畝の門下に入りました。
文展にて1916年から3年連続で特選を受賞し、帝展で無鑑査や審査員を務めるなど、官展を中心に「旧派」を代表する画家として活躍しました。師である荒木寛畝から継承した伝統的な画法を基礎としながらも、当時の新派が試みた空気感や明暗の表現を柔軟に取り入れた作風が特徴です。
緻密な花鳥画や山水画を数多く残し、画塾「伝神洞」の主宰も務め後進の育成にも努めました。2024年には生誕150周年を迎え、ゆかりのある各地で池上 秀畝の展覧会が行われ、今なお愛されている日本画家です。
ダントニアン(Dantonian)は、1971年にデンマークのパイプ作家であるスヴェン・ヌードセン(Sven Knudsen)とテディ・ヌードセン(Teddy Knudsen)の兄弟によって設立されたパイプ工房(Dantonian PipeWorks)およびそのブランドです。
デンマークのパイプ制作文化は、第二次世界大戦後にシックステン・イヴァルソン(Sixten Ivarsson)らの職人によって確立しました。伝統的なイギリス式の作り方とは異なり、ブライヤーの木目を観察しながら形を削り出す「フリーハンド」と呼ばれる独自の手法が考案されました。
この手法は様々な工房やメーカーを通じて広まり、デンマークの機能主義(ファンクショナリズム)のデザイン美学を取り入れた独自の作風を形作りました。ダントニアンもその流れを汲む工房の一つです。
流通の少ない希少なブランドですが、彼らが削り出したパイプの木目の美しさはもちろん、手に馴染む実用性は確かなもので、世界中の愛好家から支持を得ています。
楽 覚入(らく かくにゅう)は、昭和に活躍した京都の陶工で、千家十職の一つである樂家の十四代当主です。
十三代惺入の長男として生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科を卒業した後、戦時下であったために従軍します。1945年(昭和20年)に復員し前年に亡くなった父の跡を継いで十四代・楽吉左衛門を襲名しました。
戦後まもなくは物資も乏しく作陶に苦労した時期もありましたが、東京美術学校で学んだ近代彫刻の造形理論を伝統的な楽焼に導入し、戦後の現代陶芸の潮流の中で独自の作風を展開しました。へら削りを用いたシャープな輪郭や立体的な構成が特徴であり、赤楽や黒楽の技法を用いた作品を数多く残しています。
また、1978年(昭和53年)に楽家に伝来していた一族の作品を納めた『楽美術館』を設立し、楽家が繋いできた伝統だけでなく、技術の保存と現代における発展に尽力しました。
江口天童(えぐち てんどう)は、昭和27年(1952年)佐賀県有田町生まれの有田焼絵付師・伝統工芸士です。本名・勝久。
金龍窯にて花鳥図を中心とした絵付け作品を制作し続けています。平成12年(2000年)には国の認定資格である伝統工芸士を取得しました。
江口天童の作風の核をなすのは、豊かな金彩・プラチナ彩を地に敷き、その上に花鳥の意匠を色鮮やかに描き上げる華麗な表現にあります。黄金色に輝く背景の中で、竹・牡丹・南天・菖蒲など四季折々の植物と鳥が生き生きと配される作品は、伝統的な有田焼の絵付け技術の精粋を今日に伝えるものです。金彩の重厚な輝きと絵付けの繊細さを両立させるバランス感覚は、氏自身が「金や銀を生かし、どれだけ絵を華やかに演出できるか」と語るように、長年の修練によってのみ到達し得る境地といえるでしょう。
400年の歴史を持つ肥前有田焼の伝統を守りながら、現代の感性を加えた芸術性を追求し続ける江口天童の作品は、国内外の愛好家から高い評価を得ています。
歌川 豊宣(うたがわ とよのぶ)は、明治時代に活動した浮世絵師です。二代目歌川国久の長男であり、三代目歌川豊国の孫にあたる血縁を持ちます。
28歳で夭折したため活動期間も短く残された作品は多くはありませんが、精密で迫力のある浮世絵をいくつも描きました。
主に武者絵や役者絵、書籍挿絵などの分野で目覚ましい活躍をしました。代表作には豊臣秀吉の生涯を描いた『新撰太閤記』シリーズや『尾州桶狭間合戦』、『板垣君遭難之図』などの武者絵を中心とした大判錦絵があります。明治17年(1884年)には第二回内国絵画共進会に出品し受賞をするなど、明治の時代に浮世絵で大きな活動をしました。
ここでは、須上 春行について紹介させていただきます。
大正10年(1921年)大阪生まれとされる洋画家です。写実的な油彩表現を中心に制作を行い、静物画や風景画などを題材とした作品を多く残したとされています。
対象を丁寧に観察し、質感や光の表現を繊細に書き出す作風が特徴とされ、花や果物、器物などの静物画や、日本各地の風景を描いた作品が見られます。落ち着いた色彩による温かみのある画面構成は、多くの愛好家に親しまれています。
対象が持つ自然な美しさや魅力を引き出す、実力派の作家の一人です。