楽道入は、江戸時代初期の名工で、楽焼の伝統を発展させた重要な人物です。彼の本名は吉左衛門で、「ノンコウ」としても知られ、特に茶道具を作る陶工として高く評価されています。
本作は、楽焼の真髄とも呼べる「黒茶碗」のお品物です。
ノンコウの活躍した桃山~江戸初期に制作されたお品物であり、造形の素晴らしさと共に作家の人気・時代性に価値を持つものだと言えます。
茶碗は二重の箱に収められており、内箱には茶道裏千家八代家元・又玄斎の書付(品物の証明のようなもの)、外箱には裏千家十五代家元・鵬雲斎の書付があります。
古美術品には時代がある分、品物を保証するものが重要となります。その点で、本作は楽道入が制作した茶碗であると、裏千家の巨匠が代々渡って保証したお品物であるということが分かります。
以上のように、人気の高い陶工と高名な茶人が携わった、歴史を持つ逸品であることからこちらの評価とさせていただきました。