藤崎秀胤 『わらしべ不動』

藤崎秀胤は富山県の南砺市出身の彫刻家です。

彫刻家である父のもとで技術を学び、20歳頃からは仏像の制作を中心とした活動を、現在に至るまで長く続けています。
また、2010年には井波の彫刻伝統工芸士に認定されおり、彫刻家として確かな腕前が窺えます。

井波彫刻とは、富山県南西部に位置する小さな町で築かれた、250年以上続く彫刻文化のことです。
主に欄間や衝立などの調度品が制作されていることで有名です。

今作の『わらしべ不動』は、不動明王がコミカルかつ威厳さも感じられる作風となっております。

材料は主として使用される木材ではなく、ブロンズで作られており、火の玉の中から現れる幼い不動明王からは、どこか愛くるしさも感じられます。
また、不動明王が手に持っている「俱利伽羅剣」と縄には、こまやかな装飾が施されており、作品をより際立たせます。

今作は状態等も良好かつ、市場に出回るのがかなり珍しい作品のため、今回の評価となっております。