吉田遠志 『早春三友図』

吉田遠志は1911年、東京都文京区に生まれました。

父である版画・洋画家の吉田博から油彩画の技術を学んだ後、海外へ渡り、野生動物を題材とした動物絵本シリーズを発表。その作品は高く評価され、全国学校図書館協議会が主催する「絵本にっぽん賞」を受賞し、海外からも注目を集めました。

吉田遠志の作品は、生物をはじめ、山や水などの自然を精密に描く点が特徴です。父・吉田博の作品が柔らかく明るい温かみを持つのに対し、遠志氏の作品は明暗がはっきりと分かれ、より力強い印象を与えます。

本作『早春三友図』は、松・竹・梅をそれぞれ描いた作品を一つの額に収めた木版画作品です。いずれの作品にも動物が描かれ、全体的に柔らかい配色が用いられています。
松・竹・梅は冬の寒さに耐える縁起の良い植物とされ、背景に描かれた雪が残る富士山とともに、日本人に好まれる吉祥のモチーフとなっています。

ただ、額装には購入者名や日付の記載がございましたため、その点を考慮した評価となっております。