笹倉鉄平 『朝霧のケンジントン』

笹倉鉄平は、1954年に兵庫県で生まれ、油彩、アクリル、パステル画など多彩な技法で制作活動を行う画家です。彼の作品は、ポスター、パズル、カレンダーといったさまざまな媒体で発表され、多くの人々に親しまれています。

写実的でありながら理想的な、心安らぐ情景を描くことが特徴であり、特に街中のライトや水面に反射する陽光など、光の表現に優れた作品が高く評価されています。そのため、笹倉氏は「光の情景画家」として広く知られています。

彼の作品の中でも特に高い評価を受ける傾向にあるのは、夜空に輝く月や星、街の建物から溢れる光、海や川の水面に映る光など、特徴的な光の描写が際立ち、観る者に安らぎを与える優しい雰囲気を持つ作品です。

今回ご紹介する作品は、2009年に発表されたもので、イギリスのケンジントン公園を題材としています。笹倉氏ならではの光の表現が随所に見られ、やや霧がかった空間に木々の隙間から日光が差し込む情景が描かれています。公園内では、人々が犬とともに散歩する姿が見られ、コートやダウンジャケットを着用していることから、寒い季節の情景であることがうかがえます。

さらに、この作品はキャンバスの側面まで丁寧に描き込まれており、アクリル製の立体額に収納されている点も見どころの一つです。