竹内浩一 『狗』

竹内浩一は京都市出身の日本画家で、動物や自然を精緻かつ精神性豊かに描く作風で知られています。
山口華楊に師事し、1967年に日展初入選を果たしました。淡い色調と繊細な線描を特徴とし、宋代絵画から影響を受け、生命や自然の本質を追求する独自の作風を確立しました。
1984年には、「横の会」を結成し、日本画の新たな可能性を模索する活動も行い、教育者としても京都市立芸術大学で教授を務めるなど後進の育成にも尽力された人物です。

今作は恐らく柴犬の小犬が、竹内浩一らしい写実的な描写で描かれています。愛くるしさと表情の凛々しさが混在し、まさしく見る人の心を釘付けにする一作だと言えます。
その力強い視線は、額を貫き現実にいる私たちを刺すようにこちらを捕らえます。ただしそこには宿るのは、リアルさからくる恐怖感などではなく、生命の力強さと紐づいた命の美しさではないでしょうか。
それを可愛らしい動物で描けるというのが、竹内浩一の優れている点だと言えます。

今回は作品の状態が良かった点と、作家の人気モチーフの作品となる為、こちらの評価とさせて頂きました。