山本紅雲画 即中斎賛 掛軸『初音』

山本紅雲は、明治期に活躍した兵庫県出身の日本画家です。

京都市立絵画専門学校を卒業し、竹内栖鳳に師事しました。帝展や日展で活躍し、京都市文化功労賞を受賞しています。

紅雲は花鳥画を得意とします。伝統的でなめらかな筆致は、柔らかく暖かい印象を与えます。
本作もまた、余白に優しさを感じる花鳥画作品です。「初音」とは鳥や虫がその季節に初めて鳴く声、という意味を持ちます。多くは鶯(うぐいす)の初声に当てられる言葉であり、描かれている鶯からも、季節を告げるかろやかな囀りが聞こえてきそうです。

上部には、茶道表千家十三代家元である即中斎の賛がございました。
著名な茶人の賛があると、作品の評価は比較的高くなります。

上記に加え専用の箱が付随していたこと、一方で全体にシミが見られたことからこちらの評価とさせていただきました。