今回ご紹介させていただきますお品物は、十四代永楽善五郎 得全 『絵高麗 茶碗』になります。
「永楽善五郎」は千家十職に名を連ねる京都の名跡です。
永楽家は初代以来、代々茶道具を中心とする陶芸作品を手がけてきましたが、得全の時代は日本の近代化とともに陶芸の価値観も変わりつつありました。その中で彼は、伝統技法の継承と新しい表現の追求を同時に行いました。
得全は、永楽家の伝統を守りながら、仁清写しや呉須赤絵といった京焼の代表的な技法を駆使しました。これらの作品は、フィラデルフィアやウィーンの万国博覧会で高く評価されました。
「絵高麗」は、白化粧土の上に鉄絵文様を施した陶器で、中国の磁州窯系の焼き物とされています。本作はその絵高麗の技法に倣った作品です。
今回のお品物は得全の代表的な図柄ではありませんが、専用の箱が有り、茶碗本体に大きな傷やシミが見られなかったためこのような評価となりました。