今回ご紹介させていただくお品物は、松本明慶 『吉祥天女』になります。
松本明慶は、鎌倉時代に活躍した運慶・快慶の流れを汲む「慶派」の佛師です。
太平洋戦争の末期に京都に生まれ、戦後の困窮期に子供時代を過ごしました。
19歳の頃に当時最高峰と呼ばれていた京佛師・野崎宗慶に弟子入りし、佛師としての人生を始めます。
明慶と言えば全国にある大佛が有名です。明慶がはじめて大佛を制作した36歳の時から、現在までに19体の大佛が納佛されています。
今回の作品である『吉祥天女』は、大部分が無彩色の木彫りの仏像になります。
吉祥天は仏教における守護神である天部の一つで、ヒンドゥー教の美と富と豊穣と幸運を司る女神ラクシュミーが仏教に取り入れられたものです。
左手に持っているのは“如意宝珠 ”と呼ばれる願いを叶える宝珠です。日本ではたまねぎ型で表現されることがほとんどで、仏塔の最上部に付いているのもこの如意宝珠になります。
彩色は顔のごく一部、唇と目元のみに施されており、ふっくらとしたお顔に優美な微笑を湛えています。裳はやわらかく風に揺れており、布の柔らかさが見事に表現されています。
今回は作品のサイズや希少度等によりこちらの評価額となりました。作品の状態によって評価額が変動する場合もございますのでご了承ください。