浮田克躬 『函館雪景』

今回ご紹介するお品物は、浮田克躬 油彩『函館雪景』になります。

浮田克躬は1930年、東京都に生まれました。
幼少の折より画才を現し、15歳で東京美術学校油画科に特例で入学しました。同校を20歳で卒業し、これは現在でも破られていない最年少卒業記録となっています。

作風は絵の具を何層にも塗り重ねる重厚かつ力強い画面構成で、1967年、37歳の頃より頻繁に訪れていたヨーロッパの風景が主なモチーフです。

今回のお品物は、制作年から推察するに氏が1959年より制作していた北海道をテーマにしたシリーズ「北の風景」のひとつと思われます。写真でもわかるほど絵の具が厚く塗り重ねられており、静まった町の雰囲気と寒さが伝わってきますが、どこか迫力と存在感を感じる作品となっております。

絵の具を何重にも重ねる作風が氏の特徴ですが、その分ヒビや剥がれが起きやすい点があります。今回お譲り頂いた作品も画面の剥離が激しく、こちらの評価額となりました。
絵画作品は状態が評価額に大きく関わってまいりますので、保管の際はお気を付けください。