今回ご紹介させていただくお品物は、十三代酒井田 柿右衛門 作「濁手 菊鳥文 酒器揃」でございます。
酒井田柿右衛門は、肥前国有田の有名な陶芸家でございます。作品は色彩豊かで精緻なデザインが特徴であり、特にその芸術性の高さと技術力で評価されています。
また本作にある「濁手」とは、酒井田柿右衛門が製作した一部の作品で見られる特有の技法を指します。この技法では、陶器の表面に濁ったような、曖昧でぼんやりとした色合いや模様が描かれ、通常の鮮やかな絵付けとは異なる独特の風合いを持っています。自然の美しさを表現するためにわざと「濁った」ように見える色合いを使うことが特徴です。乳白色とも表現されることが多いです。
濁手は、陶器の素地に絵具を施した後に、特別な焼成方法で仕上げられます。この焼成過程では、意図的に窯の温度や酸素量を調整し、絵の具が意図的に溶けたり、ぼけたりすることで、柔らかな色彩が生まれます。その結果、精緻でありながらも、どこか素朴さを感じさせる独特の風合いを持つ作品となります。
今回は濁手作品であったこと、商品自体に割れや欠けがないこと等を考慮し上記の評価とさせていただきました。