小鼓(こつづみ)は、雅楽で用いられる打楽器です。
実際に使用される楽器であるため、使用に適したものであるかが評価の肝要となります。一方で、美術品としての美しさも評価に大きく関わります。
その意味で革の使い込まれ具合や胴の絢爛さが主なポイントとなりますが、その他にも「銘」の有無が関係します。
本作では革に「京林」の銘が、胴に黒漆で「弥左衛門」の銘がございました。
「弥左衛門」は室町時代に活躍した鼓の名手・宮増弥左衛門親賢を指します。小鼓方観世流の祖として知られ、その名高さから強い人気を持ちます。
貴重な胴と上質な革が使用された小鼓であり、大きな傷なども見られないお品物であったことから今回はこちらの評価とさせていただきました。