中里太郎右衛門は佐賀県唐津市に窯元を構える、初代は桃山時代というおよそ430年の長い歴史を持つ「唐津焼」の名門です。
今回は十三代の作品です。彼は人間国宝である父の無庵が再興した古唐津の研究を続け、伝統的な古唐津のスタイルを引き継ぎながらも現代的なスタイルを模索し、1992年に佐賀県重要無形文化財に認定されました。
今作は十三代中里太郎右衛門本人の作品になりますので、壺の裏側を見ると標章としている「三ツ星」が確認できます。
そして、無庵が蘇らせた「叩きづくり」と呼ばれる古くは縄文時代から使われていたという技法によって、滑らかな波形の文様が浮かび上がっています。
そういった古唐津の特徴を残しつつも、モダンチックな色合いや華々しさが十三代独自の作品であることを主張します。
今回は箱がしっかりと付属していることと、状態の良さを加味しまして、こちらの評価とさせていただきました。