今回ご紹介するのは『般若心経 純銀湯沸』です。
こちらの商品は純銀で作られた「銀瓶」と呼ばれます。よく見ると口が真っ直ぐに伸びております。
このように口元が銃の先端のように作られたものを「鉄砲口」と呼びます。
また先端が獣の形をしている「獣口」や内にすぼんだ形をした「姥口」など様々な種類が存在します。
中でも「鉄砲口」や「獣口」は海外の方から人気があり、評価が高くなる傾向がございます。
また側面に般若心経が刻まれているお品物は大変珍しいです。
銀瓶は使い込むことで銀の色合いがくすんでいき、使用することで味が出てくるのが特徴でございます。その為、銀瓶で沸かしたお湯は水の本来の味わいを感じられるそうで、味わいの良さを求めて銀瓶を愛用する茶道愛好家も多いそうです。
中国では一時期、文化大革命の影響により美術品や煎茶道具は贅沢品と見なされ抑圧されておりましたが、中国経済の発展と共に美術品や煎茶道具の需要が急速に高まっております。また、中国国内の富裕者層では、銀瓶を用いて煎茶を入れ客人をもてなすブームがあり、銀瓶は特に人気が高いお品物でございます。またそれに比例して銀瓶以外の煎茶道具の需要も大幅に高まっているため、銀製品や絵付けの鮮やかな物であれば評価に期待できるかと思われます。
こちらの作品は作家銘などはなかったですが、冒頭でお伝えした「鉄砲口」のお品物でした。彫り込まれいる般若心経も粗いものではなく、一文字一文字が職人の手によって丁寧に仕上げられたものでございました。少し凹みがございましたが総評してこちらの評価とさせていただきました。