河井寛次郎は、民藝運動の中心メンバーとして活動した作家です。
作品に自身の銘を刻まないことが特徴ですが、銘が無くても分かるような独特の作風を持っております。
寛次郎は晩年まで多く扁壷作品を手掛けており、本作『花扁壷』もまた寛次郎の磨き上げた特色が良く表れた作品です。
長方の白地に抽象性のある花の絵付が、緑釉・辰砂釉の優しい発色をもって描かれています。緑釉・辰砂釉、そして柿釉は寛次郎の多用する三色であり、まさに作家の代表的なニュアンスを含んだ作品と言えます。
今回は作家、作風の人気に加え専用の箱が付随していたことを考慮しまして、こちらの評価とさせていただきました。