今回お譲りいただきましたお品物はこちら、真葛香斎 作『祥瑞水指』でございます。
真葛(宮川)香斎は江戸時代から続く京焼の窯元で、当代が六代目となります。
真葛焼は京都真葛と横浜真葛に分家しており、京都真葛が「香斎」を名乗っております。
伝統的な京焼の技法を網羅しており、それとあわせて真葛焼の祖である宮川長造が得意としたワラ灰釉を代々使用していることが真葛焼の特徴です。
白磁にコバルトで絵付をする「染付」という焼物技法があります。「祥瑞」とは、染付の柄の一種です。染付はもともと中国の技法ですが、祥瑞は日本茶道に迎合した、縁起の良い日本風の絵付を指して使われることの多い名称です。
本作は蓋に山水、胴に花鳥が描かれた水指作品となります。丁寧で華やかな絵付は、お茶の席に和やかな彩りを与えてくれそうです。
そして、こちらには茶道 裏千家十五代家元である鵬雲斎宗室の書付がございます。この書付は鵬雲斎宗室が真葛香斎の作品であるという証明と、その名付を行った証となります。
今回は人気の窯元の茶道具作品であること、専用の箱が付随していたこと、鵬雲斎宗室の書付があったことを考慮し、こちらの評価とさせていただきました。