今回ご紹介する作品は前端 雅峯 作「洲浜二松蒔絵 大棗」です。
金地に高蒔絵で表現された尾形光琳を彷彿とさせるような模様、そして松。
小さな棗に施されたとは思えないほどの緻密な技巧が特徴です。
こちらの作品名である「洲浜」とは水流に運ばれた泥や砂が堆積し、水面に浮かぶように現れた入り組んだ浜辺のことを指します。古来、洲浜は、神や仏が降臨する場所であり、清浄な領域を表すと言われているそうです。
皆さんご存じかと思いますが、棗は抹茶を入れておく容器です。
元々「棗」とは植物のナツメの実を連想される方が多いと思います。その為茶器で呼ばれるようになったのも、形がナツメの実に類似していたからだそうです。
こちらの品物は、棗と共箱の裏に表千家14代家元である而妙斎の書付がございました。このようにお家元の書付があるお品物は、お家元から良い品だと認められている証となるため評価が高くなります。そして技法は高蒔絵と大変目を引く素晴らしいお品物だったため、こちらの評価となりました。