吉田博 作『瀬戸内海 三つ小島』

皆様こんにちは。緑和堂東京支店です。
今回のご紹介は吉田博 作『瀬戸内海 三つ小島』です。

吉田博は福岡県久留米市出身の洋画家・版画家です。
久留米藩士・上田束秀之の次男として生まれ、中学生の時図画教師の吉田嘉三郎に見いだされ吉田家の養子になりました。その後、京都の田村宗立と三宅克己に師事しました。1893年には上京し、小山正太郎の不同舎に入門しました。1899年から1903年の間、渡米・渡欧し、各地で展覧会を開きました。青年期は「絵の鬼」と称される程、西洋画に没頭していました。

その中で、1920年版画店の店主である渡辺庄三郎との出会いが転機となります。版画に関心を持っていた吉田博は1921年に「帆船シリーズ」を出版しました。しかし、関東大震災が発生し、作品も大半が焼けてしまいました。わずかに残った作品を持って渡米し、再起を図りました。1925年に帰国し、自身の版画スタジオをオープンしました。代表作となる「米国シリーズ」や「欧州シリーズ」もこの時に制作されました。

今回ご紹介の吉田博 作『瀬戸内海 三つ小島』は瀬戸内海集「光る海」に収録された作品です。このシリーズは関東大震災後、渡米した際に制作した作品です。年号が昭和5年となっているので帰国後も発行し続けたものと考えられます。
水面に写った船は波紋が少なく、鏡の様に写っている様子から瀬戸内海の穏やかさが見受けられます。

こちらのお品は、「米国シリーズ」や「欧州シリーズ」といったメジャーシリーズに比べると、ややマイナーな作品集の作品です。しかし、吉田博の作品としてのブランドを参考に評価させていただきました。

緑和堂では西洋画や版画に加え、絵画や彫刻などの美術品を幅広く取り扱っております。気になる作品などお持ちでしたらいつでもご相談ください。
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