本日ご紹介致します商品は、十三代 今泉今右衛門作 『色絵吹墨花草文花瓶』でございます。
実は今泉家が、素地づくりを行うようになったのは、明治以降からでございます。江戸期は鍋島藩の御用赤絵師として代々受け継がれてきました。
鍋島焼は藩の管理下のもとで技法の守秘をはかり、献上用の磁器として作られてきた歴史がございます。そのような品位の高いものに絵付けを施していたのが、今泉家でございます。
そういった絵付けの技術を更に高め、反映させたお品物がこちらとなります。
身近な草花を題材としたこちらの作品は吹墨という技法で仕上げられております。こちらは元々中国から伝わった技法であり、初期伊万里でも使われておりました。型紙の上から顔料を吹き付けることで、筆の絵付けでは表現できないグラデーションを描くことができます。今回のこちらの作品は全体を吹墨で仕上げ、その上に色絵で鮮やかな草花を表現しております。そうすることで草花が立体的に浮き上がるように見え、作品がより気高くなるのではないかと思います。
これまでの今泉家の歴史にしっかりと目を向けることで、絵付けに対してどれだけ真摯に向き合ってきたのか、作品から感じ取ることができるのではないでしょうか。
傷や汚れも見受けられず、大切にされていたのが伝わるお品物でございました。
貴重なお品物を弊社へご依頼いただき誠にありがとうございました。