皆様こんにちは。緑和堂東京支店です。
今回のご紹介は井上萬二 作『白磁彫文 壺』でございます。
井上萬二は佐賀県有田町生まれの陶芸家です。「名陶無雑」の精神を大切にしておられ、平成7年には白磁の無形文化財保持者(人間国宝)に選ばれています。
15歳で軍人を志し海軍予科練に入りました。戦後、父の勧めで柿右衛門窯に入社しました。そこで、大物ろくろ師の初代・奥川忠右衛門に師事し、白磁の道を歩むこととなります。29歳で柿右衛門窯を退社し、県窯業試験官の技師となり、40歳の時にはペンシルベニア州立大の講師として渡米し、5か月間担当しています。その後も国内外の展覧会で多岐にわたり活躍しています。
今回ご紹介いたします『白磁彫文 壺』は全て白色で表現され、片側一面に植物の彫文が施されています。白以外の色を使わないことで壺本来の形が際立ち、雑味のない作品です。また、木箱に押されている印には「名陶無雑」の文字があり、井上萬二の精神通りの仕上がりとなっています。
今回は壺の作品であり、専用の箱が付随していたこと、目立つ傷等も無い状態でお譲りいただきましたことを考慮し、こちらの評価とさせていただきました。