皆様こんにちは、緑和堂東京支店です。
今回の話題は「版画作品のエディションについて」です。
一口にエディションと言ってもいろんな種類があるのでこれを機に覚えてみてください。
まず、エディションが何かという説明ですが、リトグラフやシルクスクリーンといった版画作品に用いられる番号の事で、作品の左下に書かれることが多く20/150の様に〇/〇と書かれることが多いです。
数字が書かれている際は分かりやすく20/150の場合は150枚ある内の1枚であることを指しています。分子の番号がエディションを意味する数字になるのですが、版画の製作工程上順番が前後する事もあり、若い番号=最初に刷り上がったものではなく、ただの通し番号となっています。
ここからは数字以外が書かれているエディションを紹介したいと思います。
海外作家の作品に使われることが多いのが、ローマ数字を用いたエディションになります。CXLIX/CCLのように書かれています。こちらはIが1、Vが5、Xが10、Lが50、Cが100を現しています。先ほどのCXLIX/CCLは算用数字にすると149/250を現しています。
笹倉鉄平やヒロヤマガタといった日本人作家もローマ数字を用いたエディションを使用しています。
次に紹介するエディションはナンバーではなく少し特殊な意味を持つエディションになります。EP・AP・HC・TP・PPなどのアルファベット2文字であらわされるエディションで、EPとAPは作家保存版と呼ばれるもので資料として作家が保存していたり、美術館の寄贈されたりするものとなります。
HCは非売品という意味で作成に携わった人への贈り物として作られます。
TPやEEは試し刷りと呼ばれている版画です。作家が色調や配色を確認する際の試し刷りの版画で、最終確認後に作家が保存したり工房が保存したりします。
PPは明確な制作に関わった工房などへの寄贈用とし作られたものになります。HCとの違いは、PPは昔の慣習のようなもので、作成した工房には渡すというのが暗黙のルールみたいになっていました。HCはシンプルに作家の感謝の気持ちという意味合いが強いものになっています。
いかがだったでしょうか、一般的なエディションから特殊なエディションまでご紹介させて頂きました。どのエディションにおいても作品の質は変わることはほとんどないのですが、販売用と贈答用など用途によってエディションが変わります。市場価値としては販売用として作られたものが正当なものとして評価されるため、特殊エディションの物は少し評価額が低くなる傾向があります。