こちらは、初代亀文堂『月明梅香 象嵌 鉄瓶』になります。
亀文堂は、滋賀県の湖東地方において、主に鉄瓶を製造していた鉄瓶製造業者です。
創業者の波多野正平は、弟の秦蔵六とともに、当時鋳金術の名工として知られていた京都の「龍文堂」の四方安之助に師事し、蝋型鋳造の技術を学びました。その後、滋賀県に移り住み、独立して工房を開き、「亀文堂」と名付けました。
創業当初は文房具や銅器の製造に尽力していましたが、幕末から昭和初期にかけて、一般家庭で鉄瓶が使用されるようになると、蝋型鋳造による鉄瓶の製作に注力しました。自然や山水を題材にした浮彫り模様の鉄瓶は高い評価を受け、さらに銀の象嵌細工を施す工夫を重ねたことで、高級鉄瓶として文人たちに広く愛されました。
今回のお品物は初代・波多野正平の作品であり、弦の部分には象嵌が施されています。口や環付は一般的な形状とは異なる独特のデザインとなっています。
初代の作は大変貴重なお品物のため、こちらの評価とさせていただきました。