池田遥邨 『風景画掛軸』

池田遙邨(ようそん)は大正～昭和期に活躍した日本画家です。

少年期は松原三五郎のもとで洋画を学びましたが、以降は竹内栖鳳の画塾を経て日本画に傾倒しました。

遙邨の作品では、戦後に確立された鮮やかな色味の風景画や、最晩年に描かれた「山頭火シリーズ」が特に高い人気を持ちます。

遙邨の風景画はユーモラスに描かれます。
当時の京都画壇は写生に重きを置いた「四条派」が一大勢力となっており、師の竹内栖鳳も四条派の巨匠でした。栖鳳は様々な画風を四条派絵画に取り入れた革新の画家であり、弟子であった遙邨も写生的な拘り以上に、独自の装飾性を持った風景描写を追い求めました。

本作も色使いなどの描写から、戦後に描かれた風景画であると推察できます。
青々とした山肌と朝方の白む空には、日本的な厳かさとともに目を惹く主張の強さが感じられます。

今回は掛軸作品であり、作品専用の箱が付随していたことやモチーフ自体の人気からこちらの評価とさせていただきました。