皆様こんにちは。緑和堂関東エリア担当です。
今回も前回に引き続き、他エリアの商品をご紹介させていただきます。
縦笛の和楽器といえば、尺八を思い浮かべる方も多いかと思うのですが、この笛は少し違います。尺八ほど長くはありませんし、竹の根本の部分もありません。節も一か所しか含まれません。
なんとこちら、尺八の前身となる「一節切」(ひとよぎり)と呼ばれる楽器です。全盛期は室町時代から江戸時代の初めのころまで、それ以降は衰退してしまい、現在では当時の正しい演奏方法すらわからない謎多き楽器です。起源は中国と推測されていますが、こちらもやはりはっきりした史料はありません。
日本では主に貴族や武士、僧侶など上流階級の間で流行し、一休和尚や雪舟、信長など多くの著名人が嗜んでいたそうです。しかしながら江戸時代に入り、音域が広く音も大きい尺八に押され、演奏者は激減。演奏法の伝承も途絶え、現在はわずかに残された実物と当時の楽譜が伝えるのみとなってしまっています。
今回の作品は、古いものに多い樺巻きと呼ばれる、竹の割れを防ぐ細工が施されていますが、箱が新調されたもので来歴が不明、漆や蒔絵の装飾もないことから、こちらの評価額となりました。