皆様こんにちは。緑和堂大阪支店でございます。
今回ご紹介するお品物はこちら。井上萬二 作『白磁菊彫文花瓶』でございます。
井上萬二は「白磁」で人間国宝に認定されている有田焼の陶芸家です。
佐賀県有田の窯元の家に生まれ、戦後より十三代柿右衛門の元で働く事となります。その後初代奥川忠右衛門に影響をうけ、そこで白磁やろくろの技法を学びました。
有田焼といえばまさしく柿右衛門のような、白磁に絵付を施したものを想像されるかもしれません。一方で本作の作家・井上萬二は、色絵に頼らない純真な白磁の作品を特徴としています。歪みの一切ない白磁の造形は非常に美しく、究極の白磁を体現します。
本作もまた、白磁の美しさが際立つ一作です。すっきりとしたシルエットであり、口から伸びる放射線状の彫りが菊の花弁を表したようで、他にない造形美を楽しめます。
今回は作家の代表的な技法が使われていたこと、共箱と一緒にいただけたこと、作品の形や大きさを考慮しましてこちらの評価とさせていただきました。