今回ご紹介するお品物はこちら。中村宗哲 作『四方盆』でございます。
中村宗哲は当代が十三代目となる千家十職の塗師の家門であります。初代は江戸時代まで遡り、京都武者小路で宗哲と称して千家の塗師となりました。初代の残した利休型の棗を標準型とし、「利休型12器」や「如心斎判32器」の寸法や型は中村家の家宝として現在に受け継がれております。
十二代目は女性として初めて正式に中村宗哲を受け継いだ方であり、千家十職の中でも初めての女性当主となりました。当代もまた女性の当主となっております。
本作は中村宗哲が製作した四方盆に、飛騨春慶が画賛(詩文)を入れたものになります。今回で言えば、松尾芭蕉の詩の写しとなります。四方盆は茶の席では菓子を入れる器であり、春慶塗の色合いはより茶菓子を引き立てそうですね。
共箱に鵬雲斎の書付がありましたことを考慮しまして、今回はこちらの評価とさせていただきました。