~作家銘の無い陶磁器について~

皆様こんにちは。緑和堂大阪支店でございます。

今回は、作家銘の無い陶磁器について語らせていただこうかと思います。

基本的に作家銘のないものは「大量生産されている現代もの」「お土産品などの工芸品」また「時代の古いもの」だと考えられます。

「時代の古いもの」というのは作家、陶芸家という概念が根付く以前に生産されていたものであり、おおよそ明治維新前までの時代を指します。まさしく骨董品と呼ばれるものですね。

では、一見新しそうにみえる銘の無い陶磁器は安物なのか? というと、一概にそうとは言えません。

こちらは、先日お譲りいただいた陶器のお品物です。

 

裏面を見てみても作家銘は確認できません。では、どこかの民芸品なのか……と思うかもしれませんが、実は違います。

 

付随していた共箱を見てみると、裏面に作家のサインがありました。こちらは河井寛次郎という、れっきとした作家さんの制作した『象嵌四方鉢』という作品でした。

河井寛次郎は、作品を特別な美術品として扱わず、暮らしの中でこそ美を創出するものと考えていた作家さんです。だからこそ、自分の作品には銘を刻まないというポリシーを持っていました。

このように、現代作家でもあえて銘を刻まない方がおられます。なので、安物であると早計に判断することはできません。

銘はないけどなにか良さげだな……と感じた陶器があれば、もしかすると有名作家の制作したものかもしれません。気になるものがあれば是非一度、緑和堂までご相談いただければと思います。目利きの鑑定士が全力でご対応いたします!