今回ご紹介するお品物は、島岡達三 作『ぐい吞』でございます。
島岡達三は「縄文象嵌」の人間国宝となっている益子焼の陶芸家です。
太平洋戦争の前後から濱田庄司に師事し、濱田の指導を受けた後は栃木県の窯業指導所に勤務する中で、縄文土器への造詣を深めていきました。この経験が「縄文象嵌」の考案へ繋がり、島岡達三を象徴する技法となりました。
本作も、陶器の表面に縄を転がし、あとに色の違う土を塗りこむ縄文象嵌の特徴がよく表れています。
器に刻まれた「㐂」の字は、現代では「喜ぶ」と訳されます。日本には77歳で長寿を祝う「喜寿」という習慣がありますが、この「㐂」の字が由来とされています。喜寿の祝いでの使用が考えられた一品と言えますね。
今回は共箱が付随しておりましたこと、状態が良かったことを考慮いたしまして、こちらの評価とさせていただきました。
島岡達三作品の他、作家のない陶器等でも緑和堂では歓迎しております。お手元に手放しを考えておられるお品物がございましたら、是非一度お問い合わせください。