皆様こんにちは。緑和堂大阪支店でございます!
連日多くの査定・買取をご依頼いただき、ありがとうございます。
お陰様で、様々なお品物に触れる機会をいただいております。
その中でもやはり、よく扱せていただくのは陶磁器類。先日の出張買取においては、「酒井田柿右衛門」の作品をお譲りいただくこともありました。
せっかくの機会なので、酒井田柿右衛門作品について、簡単な見分け方を紹介できればと思います!
柿右衛門の名前は、普段古美術品に触れない方も聞きなじみがあるかもしれません。
酒井田柿右衛門は、江戸時代から現在の十五代まで代々受け継がれている、有田焼窯の名跡です。「濁手」と呼ばれる乳白色の素地に赤絵の施された磁器が伝統的に有名で、多くの名作を残すとともに、陶磁器界へ広く影響を与えています。
現在よく見られるのは主に12代以降、中でも13代、14代の作品です。
柿右衛門の名が知られているのは、もちろん長い間継承されてきた技術が認められていることがありますが、「市場に出ている品数の多さ」という点も大いに関係しています。品数が多いと、それだけ目に触れやすいですね。
では、なぜ作品数が多いのか?
それは、「窯作品」が多く作られているからです。
窯作品とは何ぞや? というと、つまりは工房作品のことで、作家本人ではなくその工房のお弟子さんなどが作家の名を冠し制作した作品を指します。柿右衛門作品はその需要の高さから、こうした窯作品が流通しています。
もちろん本人作品の方が市場価値は高いのですが、窯作品もクオリティが相当に高く、一見しただけでは判別が難しいこともあります。
それこそ12代目の作品は、本人作と窯作を分ける明確なルールが無かったため判別が難しくなるのですが、13・14代目の作品ではルールが整理されていきます。
前置きが長くなりました。ここからは13・14代目作品に視点を置いて、本人作品と窯作品の判別しやすい特徴を見ていきましょう。
まず、共箱を見ます。すると、多くの場合「錦」または「濁手」の記載が見られます。
窯作であれば「錦」、本人作であれば「濁手」と記載されます。
そして、本人作では作品に銘が刻まれていませんが、窯作品では染付で「柿右衛門」と銘がうたれています。
ここまで見れば、こちらの作品が窯作品であることが分かりますね。しかし、窯作品といえど造形や絵はきめ細やかで美しいです。
また、本人作の白地はクリーム色に近しいような濁りを持っていて、窯作品は白がすっきりしているとも言われています。これは実際に見比べてみないと難しいですが、お手元に本人作品・窯作品をお持ちの方は、並べてみるのも面白いかもしれません。
特徴はあれど、やはり判断が難しいという作品もございます。その際には、緑和堂の鑑定士に是非一度お見せいただければと思います。