岡本太郎 作 リトグラフ『生成』

今回ご紹介する作品は、岡本太郎のリトグラフ『生成』です。

岡本太郎の作品といえば、大阪の万博記念公園にそびえ立つ「太陽の塔」が有名です。今作は1974年に描かれた作品で、その太陽の塔よりも後の作品となります。

『生成』という作品名ですが、その言葉通り何かを生み出そうとする強い意志がふつふつと沸き立っている印象を受けます。年齢で言えば60代前半に描かれた作品になりますが、齢を経ても芸術に対する熱意が全く衰えないどころか、より一層強固なものとなってあふれ出ているかのような、岡本太郎の芸術への思いをどこか感じさせる作品です。

今作のようなリトグラフの作品には通常、「エディションナンバー」というものが記入されており、刷られた枚数が分かるようになっております。ですが今回は「E.A」と書かれています。
「E.A」とは「Epreuve d’artiste」の略で、作家保存という意味があります。
作家自身が資料として保存したり、関係者へ贈るものに付けられます。作品自体はナンバー付きのものと変わりませんが、本来市場に出回る事の無い作品である為、評価としてはナンバー付きと比較して下がってしまう傾向にあります。

今回のお品物は、絵画を収納する為の箱や保存袋などすべて揃っていたため、「E.A」の作品としては比較的高い評価となりました。