皆様こんにちは、緑和堂東京支店です。
本日ご紹介する作品は、鉄画軒製「中国鉢」です。
鉄画軒とは1900年に創業された中国の上海にある会社で、煎茶器道具や盆栽道具をつくる工房として知られています。鉄画軒創設者の載国宝は、ダイヤモンドで陶磁器に彫刻をする技術と書画の心得があった人物で、宜興の陶工と協力して制作を行っておりました。
そのため、宜興市の丁蜀一帯で産出される陶器用の土である紫砂を使った作品が多く残されています。
今回の作品である中国鉢は、支那鉢とも呼ばれていたのですが、現代では中国人に対する差別用語であるとされ改められるようになっています。そんな中国鉢は新渡(しんとう)、中渡(なかわたり)、古渡(こわたり)と製作された年代によって呼び名が変わります。「古渡」は明治前期以前の作品、「中渡」はそれ以後から終戦まで、終戦以後の輸入品は新渡と分類されます。ちなみに昭和後期から平成になっての輸入品は、新々渡(しんしんとう)と呼ばれています。
鉄画軒は中渡年代に渡来した実用名鉢として有名で、今回の作品も中渡の物であると思われます。今回の鉢の種類は朱泥外縁切足隅入正角式と表記されます。
この表記によって中国鉢(支那鉢)であること、中渡であること、朱色の焼き物であること、縁が外に向いた鉢であること、縁の角に切れ込みのようになっていること、四角い形であることが分かるようになっています。
今回の作品の評価ポイントにつきましては、人気の高い中国鉢で100年前後の中渡の作品で鉄画軒で作られている作品であることを考慮しまして上記の評価額となりました。