皆様こんにちは、緑和堂東京支店です。
本日ご紹介する作品は、3代目 玉井楽山作「楽山焼 花瓶」です。
3代目玉井楽山は1924年に愛媛県松山市に生まれ、京都美術工芸学校を卒業、卒業後に伊藤翠壺に師事し京都で腕を磨きました。その後、楽山焼の3代目を継承し玉井楽山を名乗るようになり、三代目玉井楽山を継承したころから日展などの展覧会にも出品し入選するなど、いくつかの受賞歴も残しました。
楽山焼は、愛媛県松山市で1678年に陶工の倉崎権兵衛が、二代目松山藩主松平綱隆の命により窯場を開いたのが始まりと言われています。最大の特徴はなんといっても蟹の彫刻になります。
楽山焼は三代目松山藩主である松平定長が詠んだ「あな寒し かくれ家いそげ 霜の蟹」という句に感銘を受けてから蟹の紋様を入れるようになりました。彫刻の蟹の正しい名はアカテガニと言い、愛媛地方では天神蟹と呼ばれているそうです。
ちなみに、愛媛県では他にも天神蟹が彫られている焼物がふたつあります、一つは同じ愛媛県松山市にある水月焼、もうひとつが愛媛県四国中央市にある二六焼になります。
このように愛媛では立体的に彫られた天神蟹が含まれた作品が多く作られています。歴史的な背景において天神蟹を彫り始めたのは楽山焼が最初だと言われています。
作者である3代目玉井楽山は1990年に亡くなっており、現在は後継者がおらず現時点では閉窯となっています。そういった背景からも希少性が高い焼物となっております。玉井楽山の作る作品のほとんどに蟹が入っており、その蟹のリアリティは高く現代まで紡いできた技術の高さを窺わせます。
以上の希少性や作品としての質、どちらもがとても高い物であることを加味しては上記の評価額となりました。