皆様、こんにちは。 緑和堂 名古屋支店でございます。
今回、ご紹介させて頂く商品は伊勢崎 淳作『備前 花生』になります。
こちらは日進市にお住いのお客様より出張買取のご依頼をいただき、成立致しました。ありがとうございます。
伊勢崎 淳は、1936年に岡山県備前市伊部に生まれます。
作陶に釉薬を使わずに、長い時間をかけて土を焼き固めるといった伝統技法守り、活かして備前焼の新しい地平を切り開き新しい風を吹かせた備前焼の人間国宝の一人です。
備前焼の歴史は長く、現在の中国地方、兵庫県の隣の岡山県にて1000年以上の歴史を持ちます。釉薬を使わず土本来の味を生かした備前焼は千利休に始まった「わびさび」を重んじるわび茶人たちに好まれ重宝されてきました。
備前焼の最大の魅力は何と言っても釉薬を使わず、絵筆で文様を書くこともせず、2週間に及ぶ焼成で焼き締めることで起こる窯変が命です。
長時間をかけて焼き締めることで自然がおりなす表面の土の色合いはその時々で様々な顔を見せてくれます。
どんな風に変化しているかは取り出してからのお楽しみです。
次に備前焼に使われる粘土ですが、備前焼に使われる粘土は耐火度が低く、収縮性も大きい為、急激な温度変化にはデリケートで扱いが難しいです。その為、試行錯誤を重ねた末に時間をかけて焼き締める方法が生まれたとされます。
備前焼の分野では現在5人が人間国宝に認定されています。
「金重陶陽」「藤原敬」「山本陶秀」「藤原雄」そして「伊勢崎淳」の5人です。
伊勢崎淳の特徴は中世の窯を復活させるなど備前焼の歴史を深く研究しながらも、他のアーティストとの交流も積極的に行うことで伝統的な感覚だけでは無く、モダンで現代的で先進的な造形感覚を身に着けてきました。
そのモダンで現代的、先進的な造形感覚を生かして伊勢崎淳は備前焼に新しい地平を切り開いてきました。
伊勢崎淳は独自の造形感覚を生かしてモダンで洗練されたデザインのオブジェ・インスタレーションと言われる斬新なフォルムによる作品を毎年発表し、国内外から注目を浴びています。
また、伊勢崎淳の作陶はオブジェ・インスタレーションだけでは無く、歴史に残る偉大な茶人達に愛されてきた伝統的な備前焼スタイルの茶器まで非常に幅広く制作されています。
今回のお品物は、伊勢崎 淳のお品物で出来も良く、傷や汚れも無く、専用の木箱もありましたので、上記の評価額となりました。