今回ご紹介させて頂くお品物は、近藤悠三 作『柘榴染付 煎茶碗』でございます。
近藤悠三と言えば、『染付』です。
『染付』とは、白い磁器に酸化コバルト(=青)から成る呉須という素材を用いて絵を描き、釉薬をかけて焼き上げた物です。14世紀初頭に中国は景徳鎮地方で生まれたこの製法は、16世紀には日本に伝わって有田焼へと発展し、京都では18世紀に入ってから生産がされるようになります。当初のスタイルは中国に倣ったものでしたが、近藤悠三が新たなスタイルを作りだし、後に『染付』の重要無形文化財、すなわち人間国宝の高みへと至ります。
今回のお品物は近藤悠三の作品の中でも、彼が得意とする「柘榴」の絵付けがされた染付の煎茶碗です。
近藤悠三は自宅の庭に咲く柘榴や梅などをモチーフに作品を作ることも多くありました。今回のお品物は全6客からなる煎茶碗ですが、それぞれに形が異なる柘榴の実は艶やかな釉薬が光を照り返し、なんとも言えない上品さを漂わせています。
味のある素敵なお品物であり、共箱もきちんと揃っていたためこちらの評価とさせていただきました。